ねんまつぱにっく - 1/5

「じゃーねー!」
 手を振って、たかちゃんと別れる。こうしてたかちゃんと帰るのも、今年は今日で最後だ。
 わたしは、なすふじくんと、たかちゃん家の隣にあるマンションに向かう。
 エントランスに入り、わたしが代表で鍵を出しながら、口を開いた。
「もうすぐたかちゃんの誕生日だよ」
「そうだな……」
 たかちゃんは、今年の春、このマンションの隣に引っ越してきた。学区は変わらなかったから、存在は知っていたけど、仲良くなったのは、こうして登下校で一緒になることが増えてからだ。
『あたし、年末誕生日なんだ! ママに頼んで、パーティーしようと思って! ゆめはもちろん、ふじなすも来てね!』
『え、他の子は?』
『年末だから忙しいじゃん? あたしの部屋以外は大掃除でどたばただよ。あたしの部屋も広いわけじゃないし、一番近所に住むクラスメート三人くらいが限界なの』
 と、半ば強制的に、わたしたちは、たかちゃんの誕生日パーティーに参加することになった。
 もちろん、祝いたい気持ちはあるから、パーティーに参加したくないわけじゃないのだが……。
「プレゼント……どうする?」
 たかちゃんにあげるプレゼントが、まだ決まらない。
 もちろん、“誕生日パーティーをやる=誕生日プレゼントを持ってこい”ではないのだが……。招待された以上、主役のたかちゃんに喜んでもらうために、わたしたちも何かプレゼントをあげたいと思っている。
 エントランスの扉を開ける。なすがエレベーターのボタンを押す。
ゆめなら何がほしい?」
「私は……。愛犬ロボほしい」
「9800円はちょっと」
 エレベーターに乗り、二階と五階を押す。
「とりあえず、明日から冬休みだし……、たかの誕生日前に、オレたち三人でプレゼント探そうぜ」
「じゃあ、早速明日は?」
「急だな……。まぁオレはいいよ。じゃあな」
 ふじくんは二階だから、すぐにばいばいだ。ふじくんがいなくなり、なすと二人で話す。
「オレだったら、売れ残りのクリスマスケーキが食べれたら嬉しいな……」
「もう、そんなだからなすは、縦じゃなくて横に伸びちゃうんだよ」
「女子はすぐ太るとか言うんだから……」
なすはお菓子食べすぎなんだって! あと、さすがにたかちゃんの誕生日まで、クリスマスケーキは売れ残らないよ」
 エレベーターが五階に到着し、降りる。なすとはお隣さんのため、ぎりぎりまで話せる。
「で、明日行くの? 急だね……。何時から?」
「十時くらいでいいんじゃねえ? 帰ったらふじにも連絡しとくよ」
「わかったー」
 たかちゃんにぴったりの誕生日プレゼントが見つかるといいな……。