海水浴場にて

 短小包茎。一言で言えばそれだったが、彼のペニスは、ひどく愛らしかった。
 亀頭の先っぽまですっぽりと皮に覆われていて、よく見ればその皮はほんのりとピンク色に色づいている気がした。数cmくらいの竿とも呼べない突起の奥に控えるまあるい玉も、ラムネのビー玉サイズが二つといったところだろうか。
 亀頭も発達していないらしく、先細りした先端は、余った皮が穴をぴったり閉じている。まるで子どものおちんちんだ。
 海に来て水着を忘れてしまったらしい彼。もう随分お兄さんの体をしているというのに、そこだけ成長を忘れたおちんちんを丸出しにして、年の離れた妹とはしゃいでいる。この子の母親は、どうやらこのおちんちんなら隠さなくても問題ないと見なしているようだ。
 だが、母親の判断はともかく、本人はさすがに恥ずかしいだろう。ほかの人は、自分より小さな子であっても水着をきちんと着ているのに、一人だけおちんちん丸出しなのだ。顔が真っ赤だった。それでも、彼は妹と遊んで無邪気に笑う。
 ――もしも、彼のおちんちんに触れたなら。
 ぷにゅん、という感触とともに、彼の温かい体温を感じるだろう。
 まだ性徴期を迎えていないのではと見紛うほどの幼くかわいらしいサイズのそれ。皮を指でつまめば、剥けるだろうか。
 中から顔を出したピンク色の亀頭を優しく指でもてあそぶ。敏感な器官を、親指と人さし指でくりゅんくりゅんと何度もこね回す。
 そうしたら、この子はどんな反応を示すのだろうか。今よりもっと顔を真っ赤にして、涙をこぼすだろうか。それとも、やめて、と、はっきり意思を伝えるだろうか。
 あるいは――、指の動きに合わせてそこを硬くし、腰を振り始めるかもしれない。そうなれば、たとえ指の動きを止めても、幼い茎ははしたなくぴょこぴょこと跳ね回り、やがて白い粘液を吐き出すだろう。
 その時、彼はどんな顔をするのか。羞恥に染まる顔か、快感にとろけた顔か……、はたまた別の顔だろうか。
 無防備なお尻に手を触れる。やわらかな尻肉をなで回し、そのまま太ももへと手を滑らせていく。
 すべすべした男の子の感触をじっくり楽しみながら、おもむろに股の間へ手を伸ばす。
 ふにゃりと柔らかい玉袋。手のひらに乗せて、やさしく揉みほぐす。
 手の中でころころ転がる二つのボール。これから何をされるか不安で、袋は彼の体の方へ、玉を避難させるようにして縮こまらせてゆく。男として、正しい防衛反応。しかし、それがかえって男としての尊厳を捨て去り、ただでさえ粗末なものを一層貧相に見せてしまう。もはや、この全裸の子が男の子なんだと、一目でわからないかもしれない。
 すっかり縮こまってしまった袋からまさぐるようにして双球を引きずり出す。しわしわの袋が大切そうに包んでいる、二つの塊。きゅっと握ってやれば、たちまちその子は情けない声を漏らすだろう。男の弱点を執拗に狙われ、恐怖のあまり、その皮だけになってしまったようなおちんちんの先から、ちょろちょろとおしっこを漏らしてしまうかもしれない。
 すると、薄情な母親は、より一層このお兄ちゃんを男として認めなくなるのだろう。おちんちん丸出しでおもらしまでしてしまったら、もう水着どころかパンツすら穿かせてもらえないかもしれない。
 ――年の離れた妹はおもらししないのに、あんたはみっともなくおもらしして!
 おもらしするならパンツはいらないねと、帰る時間になってもおちんちんを隠すことが許されない。上だけ服を着て、下半身はおちんちん丸出しの屈辱的な姿のまま、帰りのバスに乗せられる。大勢の人の前で、バスの揺れに合わせて踊る小さな茎を晒す。みんなの視線が自分の股間に集まっていることを感じ、恥ずかしさに顔を真っ赤に染めながらも、必死に我慢する。そんないじらしい彼の隣で、デリカシーのない母親や無邪気な妹は、彼がなぜおちんちんを出しているかを逐一丁寧に乗客に説明するのだ。そのたびこの子は泣きそうになるものの、健気にひたすら恥辱に耐える。
 母親の説明を聞いた意地悪な乗客が、彼のおちんちんをさわり出す。指でつまんで、ぐいっと皮を剥けば、つるりとした綺麗な亀頭が露出する。唯一今の彼を守ってくれている包皮さえもめくられ、彼はついに泣いてしまう。
 しかし母親は、男の子でしょ、これくらいで泣かないのと一蹴する。それどころか、こんなのでよければ遊んであげてと、息子の大切なおちんちんを他人に任せる始末。
 他人の手で好き勝手にもてあそばれる小さな体。
 その子は、懸命に耐えようとしながらも、だんだんおかしな気持ちになってきてしまう。知らない人に大事なところをいじられて、恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ないはずなのに、なんだか胸の奥がうずいて、頭がぽーっとしてくる。
 あろうことか、もっとさわってほしいと思うようになる。自分以外の手に触れられ、そこが熱を帯びてくるのがわかる。自分の手では味わえない未知の快感。泣きたいほど恥ずかしいのに、もっとしてほしいと感じるのだ。
 自分が自分でなくなるような感覚。操られているかのように勝手に動く自分の体。まるで誰か別の人間に乗っ取られたようだけれど、その正体もわからず、ただ快感に悶え、幼い性器をぴょこぴょこ跳ねさせることしかできない……。

 そんな、淡い夏の思い出。