最終更新日:2023年4月18日
◆この記事は18禁です!
このストーリーは、18禁ノベルゲームにしたい作品の“テキストだけ”先んじて公開するものです。
フリー版で公開していた範囲はそのままノベルゲームテキスト形式、そうでない追加部分は主に小説描写になっています。
「おはよ、あかね……」
あかね
「……おはよ」
挨拶なんか、したくなかった。
結局、私に友達なんて、りく以外いないのだ。
好奇の視線を向けてくるだけの友達は、少なくとも私は、いらない。
でも、向こうから挨拶してきたので、私も、一応挨拶を返した。一応。
もう、友達なんか、りく以外いらない……。
自分の席に座り、吉原たかしのことを考える。
りくと同じ目に遭わせてやりたい……。
◆
りく
「あかね」
お昼休み。
りくは、私の教室に来た。
あかね
「りく。どしたの……?」
りく
「たまにはさー、一緒に食べようと思って。ど?」
当然のごとく断る理由もなかった私は、りくと一緒にお昼を食べることにした。
教室は、私たちは同じクラスじゃないから無理。
食堂は混んでるし、中庭もそれなりに人がいるし……。
私たちは、校舎の裏で、ひっそりお弁当を広げていた。
りく
「……金、渡したの?」
あかね
「……うん」
りく
「………………ごめんな……」
あかね
「いいんだってば」
あかね
「ただ、復讐してやりたいね……」
りく
「……まだそんなこと考えてんの?」
あかね
「だって、りくに、あんな酷いことしたんだよ……」
りくは、卵焼きをゆっくり食べてから、口を開いた。
りく
「運が、悪かったんだよ」
りく
「さゆりにふられたのが、始まり……」
りく
「昨日は、とうとう、あかねまで巻き込んで……」
りく
「……もう俺、さゆりに合わせる顔がない」
りく
「……逢いたいよ、さゆり……」
――――――。
りく
「復讐、できることなら、俺だってしてやりたいさ」
りく
「でも、そんなことしたって、何になるんかな」
りく
「さゆりが、また俺を見てくれるわけじゃない」
りく
「むしろ……、幻滅される」
りく
「想うことすら許されなくなりそう……」
なんで、こんな時まで、さゆりちゃんなんだろう――。
さゆりちゃんの何がいいの?
さゆりちゃんと私、何がそんなに違うの?
おちんちんしゃぶって、射精してくれたよね。
それって、私で気持ちよくなってくれたんじゃないの?
なら、私は、りくの恋人になれるんじゃないの?
りく
「でも、あかねがいてくれて、よかった」
あかね
「え?」
りく
「昨日は、ほんとごめん。いや、今日もだけど」
りく
「でも……、相手があかねで、よかった」
りく
「もし……、もしもだよ?」
りく
「昨日、強要されたのがあかねじゃなくて、さゆりだったら……、幻滅で済まないレベルで嫌われたと思う」
りく
「俺のことも、あんな風に……、守ろうとできないよ」
りく
「あかねは、すごいな」
りく
「……何年も一緒にいて、今さらだけど、改めて、そう思った」
りく
「尊敬するよ」
私は、すごくなんかない。
尊敬されるべきでもない。
りく
「ありがとう、あかね。今度でいいから、必ず、俺もあかねのために何かさせてくれよ」
あかね
「りく……」
りく
「大好き、あかね」
りく
「……あ、予鈴」
りく
「もうこんな時間か。あかねといると居心地いいから、時間が経つの忘れちゃうよ」
りく
「憂鬱だけど、午後の授業も頑張りますか」
何も言えない。
『意気地なし』
頭に浮かんだ吉原たかしの顔を殴る。何度も殴る。
だけど、彼の言葉の否定は、今もできないままだった。
『大好き、あかね』
なんで、『私も』って……、言えないんだろう。
予鈴が、悪い。
今のは、予鈴が、悪い。
予鈴が……