最終更新日:2023年10月9日
◆この記事は18禁です!
このストーリーは、18禁ノベルゲームにしたい作品の“テキストだけ”先んじて公開するものです。
フリー版で公開していた範囲はそのままノベルゲームテキスト形式、そうでない追加部分は主に小説描写になっています。
りく
「おはよ、あかね」
あかね
「おはよ……」
あかね
「……ねぇ、りく」
あかね
「この休み、何かあった?」
休み明け、一緒に登校。
りくは、大層驚いたようだ。
りく
「え、うそ……。そんなに顔に出てた?」
あかね
「んー、今じゃないけど」
でも、何かあったのか。
あかね
「土曜日の朝くらいに、ふとりくが……、心配になっちゃってさ……」
りく
「ええ? すごいな。超能力者じゃん」
りく
「…………実は……」
りく
「あかねに言われたようにさ、待ってるだけっていうのも、つらくて」
りく
「さゆりに、メールしちゃった」
雰囲気から察するに、上手くいかなかったようだ。
りくは、ケータイを見せる。
ごめんね。本当にごめんなさい。
私、もうりっくんを、恋愛対象として見れない。
たとえ、私が好きな人にふられても…、多分、りっくんをもう一度好きになれない。
だから、りっくんも、私じゃない他の人と幸せになって。
きっと、私よりいい人いるから。
身勝手の最低な女で、ごめんね。
あかね
「…………返信は?」
りく
「してない……」
あかね
「……そっか」
………………………………………………。
あかね
「……“りっくん”か」
ぽつり、つぶやいた。
りく
「ぅん?」
あかね
「いや……、昔は、私も“りっくん”って呼んでたなぁ~って」
小さい頃は、“りくくん”というワードが、言いづらかった。
だから、いつの間にか“りっくん”と呼んでいた。
大きくなるにつれて、りっくんは、“りっくん”と呼ばれるのを嫌がった。
その頃の私は、もう“りくくん”と普通に言えるけれど、今さら他人行儀だと思った。
だから、“りく”と呼ぶようになった。
あかね
「あんだけ同世代からのりっくん呼び嫌がってたのに、さゆりちゃんには呼ばれてんだ~」
りく
「な、なに~、今さら。妬いてんの?」
はい。
あかね
「別に~? ただ、赤ちゃんっぽいって怒ってたな~って」
りく
「そりゃ……、なんかすごく子どもっぽくない? 響きがさ」
あかね
「そりゃー、舌足らずの幼子が“りくくん”と呼べず、“りっくん”と呼んでいたわけだから」
りく
「恥ずかしいじゃん……」
あかね
「でも、さゆりちゃんは呼んでたね~」
りく
「それはっ……、恋人だから……」
恋人、か……。
りく
「あかねも、恋人できたらわかるよ」
あかね
「えー、りっくん」
ふざけて呼んでみる。
もうふざけないと、そう呼べないんだろうか……。
りく
「もー、やめてよ……」
りくは、照れている。かわいい。
あかね
「さゆりちゃんよりずっと前から、りっくんって呼んでたのに」
りく
「でも……、あかねからは、“りく”って呼んでもらった方がいい」
りく
「その方が、しっくりくるもん」
あかね
「ふーん……」
りく
「俺も、あの時から、あかねのこと、“あかねちゃん”って呼ばなくなったし」
あかね
「ああ……」
確かにね。
“りっくん”は、“あかね”と呼ぶようになり。
“あかねちゃん”は、“りく”と呼ぶようになった。
なんだか、幼友達から、一つステージが上がった気がしたっけ。
りく
「さゆりは……、恋人は、特別だけど……、同じくらい、あかねも大事で、特別なんだよ」
りく
「だから、妬かないでよ」
あかね
「…………はーい、りっくん」
りく
「もっ、もう……、あかねちゃんは、成長して意地悪になったなぁ」
笑い合う。
……なんでだろう。
今、すごくきらきらしている気がする。
友達なんだけど。
幼なじみなんだけど。
私……、満足してるの?
りくのことを、異性として好きなのに?
……あれ?
この“好き”って、恋愛のそれ……だよね?
っ……。
なんで、りくじゃない、別の男が……。