最終更新日:2023年4月18日
◆この記事は18禁です!
このストーリーは、18禁ノベルゲームにしたい作品の“テキストだけ”先んじて公開するものです。
フリー版で公開していた範囲はそのままノベルゲームテキスト形式、そうでない追加部分は主に小説描写になっています。
本鈴が鳴り、りくと別れる。
りくは、笑ってくれた。
疲れた笑顔だったけれど、涙を止めてくれた。
名残惜しかったが、一緒に帰る約束をして、自分のクラスに戻った。
くすくすひそひそ、耳障りな雑音が聞こえてくる。
私に向けられている。
絶対、絶対、私か、この場にいないりくに対して。
彼らは、非情だ。
友人たちですら、私を避けている。
……当たり前か。公然の目前で、フェラチオしたのだ。正気の沙汰じゃない。
……薄情だよ。避けるしかできないなんて。
ひそひそひそひそひそひそ
薄情者、薄情者、薄情者!
くすくすくすくすくすくす
死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ!
この校舎にいる、りく以外の人間は、死んでしまえ!
◆
鉛のように重たかった時計の針。
ようやく授業終わりの時間になり、私は、そそくさとりくのクラスに向かう。
ちょうどりくのクラスも、授業が終わっていた。
りくは、私を見つけると微笑んで、教室を出てきた。
周りに同じ制服を着た人間が少なくなってきてから、りくは、口を開いた。
りく
「……口、大丈夫?」
あかね
「え?」
りく
「……俺の、飲んでくれたじゃん。気持ち悪かっただろ?」
あかね
「……大丈夫だよ、りくのだし」
りく
「ばか……。俺を気遣うなって」
りく
「あかねは、まだ彼氏もいたことないんだし……。それに、俺だって、もしあかねの立場だったら嫌だよ。気分悪くなるよ」
あかね
「………………」
あかね
「りくのおちんちん、成長したね」
りく
「え? な、なに、急に」
あかね
「昔一緒にお風呂入った時は、これくらいだったじゃん」
私は、人さし指と親指で、サイズを示す。
りく
「そうだったか? ま、まぁ、でも、それなりには成長できたよね」
りく
「笑われなくてよかった」
りくが、小さく、ほっとしたように笑ってくれる。
まだやつれてはいるけれど、私も、少し安心した。
りく
「……あかねさ……、明日、どうすんの?」
あかね
「明日……って?」
りく
「金……払うって、さ……」
あかね
「……何のための奨学金よ」
りく
「えっ、ちょ……! まじで言ってる?」
あかね
「私は、学費じゃなくて、事故だ何だ緊急のために奨学金もらってんだから」
あかね
「今が……、緊急な時でしょ?」
りく
「……ごめんな……ああ、謝っても謝りきれない」
りく
「頼りっぱなしで、申し訳ないよ」
あかね
「……そんなことない」
公衆の面前であんなことを強要され、屈辱だった。りくも同じだ。
あかね
「――復讐してやりたいね」
りくの動きが、一瞬止まる。
私の思考回路も、一瞬止まった。
自分から発せられた低くどす黒い声に、驚いたから。
りく
「あはは……、あかねこわ」
りく
「でも……、こんな言い方はなんだけど、あかねが明日お金を渡してくれれば、終わる気がするよ」
それは、自分でもわかっている。
明日、吉原たかしにお金を払えば、表面上は、収束する。
そんな気が、した。
しかし、私の気持ちは、一貫していた。
復讐してやりたい。
りくを辱しめたように、あいつも辱しめてやりたい。