最終更新日:2023年10月7日
◆この記事は18禁です!
このストーリーは、18禁ノベルゲームにしたい作品の“テキストだけ”先んじて公開するものです。
フリー版で公開していた範囲はそのままノベルゲームテキスト形式、そうでない追加部分は主に小説描写になっています。
りく
「あかね、この休み何かあった?」
あかね
「え?」
休みも明けた、平日。
りくとお昼を食べていると、りくは、突然そう言った。
あかね
「え……、なんで?」
まさか、クソメガネと一緒にいたところを、りくに見られていたとか……?
りくは、お弁当のウインナーを頬張ると、んーと、うなった。
もぐもぐ食べる姿が、相変わらずかわいい。
りく
「なんか、朝会った時から、楽しそうだったからさ。いいことあったのかなって」
いいこと……。
……いいこと?
あかね
「いや……、そんなことないって」
りく
「そうかな? あはは」
あかね
「もうー、なんで笑うの?」
りく
「だって、あかね、恋でもしてるみたいなんだもん」
りく
「目とかきらきらしてて、女子力上がった感じ」
りく
「なんか素敵な人とでも出会ったの?」
あかね
「……………………はあー……」
りく
「わあ、重たいため息」
あかね
「だって、りくってば、ほんっとずれてる……」
りく
「えぇー? 違うー?」
もう……。
今さら気づく?
私は、ずっと昔から、りくに片思いしているというのに。
でも……、しょうがないかもしれない。
昔から近くにいて、つい最近までは彼女もいたわけだし。
それだけでなく、りくの精神をぼこぼこにするできごとがあったわけだし……。
私より、りくが、変わっているんだ。
さゆりちゃんがいなくても大丈夫って言えるような人間に。
できれば、そのままさゆりちゃんが、元カノのまま変わらないでいてほしいけど……。
りく
「でも、今日のあかね、恋する女の子って感じでかわいいよ」
あかね
「っ……、あのさぁ……」
そんなこと言わないでよ……。
照れる……。
りく
「好きな男いるんでしょ~? 応援するし、俺にできることならアドバイスだってするから、遠慮なく相談してくれよ」
あかね
「………………んー……」
あえて、相談してみようか。
もちろん、りくの名前は伏せて。
まず、りくは、私の恋愛観を、どう思っているんだろう……。
あかね
「……りくはさ、私には、どんな男の人が合ってると思う?」
りく
「んー? そうだなー……」
りく
「あかねは、気が強いタイプとか合いそうだと思うな」
……りくは、気が弱いとは言わないけど、気が強くはないよね。
やっぱり、りくにとって、私は恋愛対象ではないみたい……。
あかね
「それは……、いわゆる俺様?」
りく
「んー、そういう意味じゃなくって……」
りく
「昔っから、あかね、結構省エネタイプじゃない? 無駄なことしないっていうかさ」
あかね
「えぇ……。そうお?」
りく
「何て言うの? 人間関係が、すっごい淡白じゃん。俺以外の友達と、プライベートで遊ぶことってほとんどないじゃん」
それは、あなたが好きだからなんですけどね、りくさん……。
りく
「ケンカだってしないし」
あかね
「りくだってしないじゃん」
りく
「俺の場合、ケンカしたくないんだって」
あかね
「私だってしたくないよ」
りく
「んーと……、……あ。ケンカするって、怒るわけじゃん? 相手の怒った顔とか見たくないのが、俺」
りく
「あかねは、ケンカなんて面倒くさいことが嫌なんだろ?」
りく
「誰かといざこざがあったら、衝突せず、自分から身を引いて、その人ともう関わろうとしないじゃんか」
あかね
「あー……」
言われてみれば、そうかもしれない。
好きな人ということはさておき、確実に友達とは呼べる、りく。
私は、彼以外、“友達”と素直に認められる人はいなかった。
思い返せば、寂しい人間だ……。
りくを失ったら、私は……。
りく
「だから、ある程度気が強い人だったらいいなって。俺は、そういう人苦手だけど……」
りく
「あかねが身を引いても、ぶつかってきてくれるような人だったら、あかねも安心して本音が言えると思うんだ」
あかね
「……りくは、どうなの?」
りく
「俺みたいなのは、だめだよ。俺も、あかねの怒った顔なんか見たくないから、一回ずれちゃうと、すれ違いばっかりになっちゃうと思う」
りく
「友達だったら、多分、俺みたいに、いい関係になれると思うよ」
りく
「でも、恋人……、特に、そういった関係を長く続けていきたいなら……、あかねの淡白なとこに突っ込んでってくれる人がいいと思う」
……だめだ。
りくは、完全に、私を“いい友達”として見ている。
りく
「……あは、なんか偉そうだよね。恋人がいたことがあるからって、一人だけなのにさ」
りく
「でも、あかねに好きな人がいて、その人がたとえ気弱な人だったら……、あかねが変わればいい話」
りく
「恋ってさ、二人いないとできないもん。合わなきゃ、合わせるもんだしさ」
あかね
「……………………」
りくは、どんな女の子が好き?
決まっている。さゆりちゃんだ。
さゆりちゃんは、髪が長くて、笑顔が素敵で、美少女と呼ぶにふさわしい女の子。
性格は明るくて、趣味も女の子らしかった。フルートとフェルトが趣味。
……とりあえず、髪を伸ばしてみるかな……。
あかね
「ねぇ……、私にロングヘアって似合うかな?」
りく
「んー? なに? 好きな人は、ロングヘアが好きなの?」
りく
「あかねは、昔からわりと短かったからなー……。あんまりイメージ湧かないな……」
りく
「ていうか、ロングにしてお手入れ大丈夫? ショートからセミロングになった時は、シャンプーが面倒ってよく言ってたじゃん」
……ご尤もです……。
りく
「あんまり見た目にこだわりすぎちゃだめだよ。男は外見に惹かれるとは言うけど、やっぱり中身だって大切なんだから」
あかね
「……はい」